昭和二十八年の大水害 

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昭和二十八年の大水害 

■所在地佐賀市嘉瀬町
■登録ID103

戦後の立ち直りに、皆が努力し始めた昭和二十八年の夏、台風による大被害、家も家具も農具も流され濁流となる。『二十八水』と呼ぶ。大体、嘉瀬川は、川底が田んぼより高く、それに堤防の東と西に強さに加減があった。二十八水の折は、両方の堤防から水濡れが始まり、危険状態になる。突然、西の堤防から『バンザイ、バンザイ』。東の堤防が崩壊したのだ。鍋島の桜の堤防。濁流は、一瞬にして家々を呑み込んでしまった。畳の上に慎重に三俵重ねたが、増水のためひっくり返った。隣ではタンスがバタバタ倒れる。家具は家の外にどんどん流れて行く。屋根まで濁水に浸され、屋根裏に家族は寝るのに精いっぱいだった。42日間の水びたしは家を壊してしまい、その冬寒い年だった。嫁にきた家内は、大水にびっくりしていた。新町の堤防は閉ざされたままだったので水は減らず、食事は船でおにぎり、漬物を運んで貰い命は保った。

出典:野田のよもやま P.41