野田の河童 

野田の河童 

■所在地佐賀市嘉瀬町
■登録ID104

野田あたりの河童は、夕暮れ時に堀の側の道端に、ニョキョッと立っている。手足は水かき、背中は甲羅、頭の上に皿がある。この皿が濡れている時は、神道力を出して、歩いている馬でも堀の中に引っ張り込んでしまう。河童は、人間の子供が好きで、お尻から手を入れてお腹の中を食べてしまう。堀の岸に、子供は一人で行かんこと。河童をはっきり見たもんは、まあだ誰もおらん。雨が降って、堀岸の滑る時、河童の皿もいっぱい濡れている。堀の岸の方に河童はちゃんと来て、水の中に隠れている。『助けてー』と大声出したら、河童はびっくりして逃げて行く。一人で堀の所に、近寄らんことが一番よか。野田の河童は、よう、あっちこっち遊びに行くけん、どこの堀でん、注意せんば。

出典:野田のよもやま P.45