水鳥の大授搦

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水鳥の大授搦

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■所在地佐賀市東与賀町大授搦
■登録ID1177

有明海は干満の差が大きい干潟であるので、鳥の餌が豊富で水鳥はここに集中してくる。全国でも屈指の水鳥の生息地である。特に大授搦は有明海でも種類の多いこと、水鳥の群が多いことは最高の地域である。4.000羽の水鳥がいるのは全く壮観の一語に尽きる。それで遠方から水鳥を探ねて来る人はまずここへ直行する。天然記念物(大正12年指定)のカササギが全国で有名であると同様に、水鳥についてもこの地は有名である。
この有明海の水鳥たちは、その豊富な餌を自分の好みに応じて思い思いに食べている。この餌場の面積の広いことも全国では稀である。また水鳥の特色として、夏羽と冬羽は違っていわゆる衣替えをする。そのために見分けるのに難しさがあり、また面白さもあり、それに雌雄の違いもあって実に興味深い。
水鳥は春から初夏(4・5・6月)と秋は9月・10月と干潟に集まる。高潮の時は岸壁近くまで潮に押されて来た水鳥が、次々に水を蹴って飛び立ち、空中で乱舞する大群の光景は実に素晴らしい。この地先で一番多いのは「鴫」類で、その種類も羽数も圧倒的、次いで「ダイゼン」や「千鳥」である。特に調査表に出ていない「鴨」の大群は、毎年10月中旬から翌年3月上旬までこの地先に数万羽も渡って来て越冬する。九州では鹿児島県出水の「ツル」が有名だが、この地先の水鳥の種類の多いことと、餌場の広いことは、観光客や愛鳥家の眼を見張らせるものがある。平素は単調平凡な干潟も、この季節になると実に絶妙壮観で、野趣とロマンの色彩に包まれる。水鳥にすれば絶好の母なる海岸であって、この大授搦はたしかに「野鳥の楽園」としても、「観光有明海」としても将来を期待される。

出典:東与賀町史P1232