野狐と白毛婆(しらがうんぼ)・白毛爺その2

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野狐と白毛婆(しらがうんぼ)・白毛爺その2

■所在地佐賀市西与賀町
■登録ID210

そうして、向こうの丹坂(にざか)越ゆっ時は、まあーだ暗かですよ。7時までは夜は暗かった。そして、おいかぶっもんじゃいのまい。あの境に。そいぎ、暗かけんもう、午前の方におってんばい、あたしゃ越さんじゃった。よそん悪わかもんじゃっけんが、もう、
そいぎ、そいが言うことに、
「あの、お前、丹坂越えて来い」
て、また言うもんのまい。
「いんにゃあ、丹坂もう越えん。山ん先さい回っ」
て、こう言うたぎんと、そいぎ、
「あつこ、石馬のおんもんのう。石馬のおっとこれぇ、『きゅうは稲刈いやっけん、かせぇに来ぇ』ち、言うてくれんかい。また、そうっと言うもんのまい。そいぎ、足ゃつくごとつかんごと駆けて行たて、ほんに黒うどったもん」
そいぎ、そこの丹坂の家からのまい、
「そりゃ、ほんなもん」て。
「決して、白髪婆も白毛爺も、そりゃほんなもんぼ。そいけんが、おそう時間、ゆっくいあっ」
て言われて、ここに来たごとがありますなぁ。

出典:西与賀の歴史とその周辺p72