萩原長者と粟長者の伝説

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萩原長者と粟長者の伝説

■所在地佐賀市大和町
■登録ID2306

 昔、萩原長者と言われる者がいた。彼は用水不足に悩み、春日谷より長堤を築いて萩原に水を引いたといわれ、現に春日より久池井地区の西方にかけ「高段土井」と称する堤防上に水路を設けた長堤がある。しばしば襲来した川上川の氾濫に備えた構造のようで、恐らく灌漑用水ではなく生活用水が目的であったと思われる。とすれば萩原の建物は単なる社寺ではなく、あるいは国庁ではなかったろうか。これらの大工事を完遂するには庶民では到底不可能であろう。
 一方、久池井に粟長者がいて、川上川の氾濫ごとに米俵で土俵に当てた。彼が死ぬ時、金椀千束・銀椀千束を「リク」に埋めた。掘りあてた者にくれてやると遺言して死んだという伝説である。和泉・筑後・肥後等にも国府跡に伝説があるが、これらの伝説は当時萩原に権力者がいたことを意味し、長者即国司とみられないこともない。

出典:大和町史P90