中山家住宅

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■所在地佐賀市水ヶ江4-2-36
■文化財指定日 
■年代無し
■登録ID2440

 当家は南北に通る安住小路の西側に東に面して屋敷を構える。文化期「御城下絵図」によると、宅地の主屋を含む北半部に中山正親抱と記され、庭園の広がる南半部は横田雉之允の名が見え、中山正親の名は北隣の宅地に記される。現在では水路を越えて宅地は広がり、中山正親抱の宅地を核として、南隣の横田雉之允の宅地東隣の藤山内蔵之允の宅地も併せ、広大な屋敷構えを見せる。
 屋敷構えは北側に配した主屋を中心に、その南隣に厩(うまや)、小路側に前庭、主屋南側に品の良い庭園を設けている。小路とは生垣によって隔てられるが、かつては小路に向けて門を開いていた。門の正面に切妻屋根を戴く玄関があるが、式台を後に改造したものである。
 主屋の屋根は寄棟造り茅葺きの上屋に桟瓦葺きの下屋が巡る形式だが、間取りに対応して棟が複雑に折れ曲がる。玄関から東西に延びる大きな棟が奥向きの諸室、そこから南側に鍵型に突き出た棟が、表向きの諸室、北側に突き出た棟には土間を収めている。
 表向きの4室は座敷を頂点とする序列に従って配列され、いずれも棹縁天井を張り、玄関を除く3室には長押が打たれる。次の間の採光部分に窓台を設ける点は、類例が少なく珍しい。中央の棟に連なる4室は、奥向きの機能を有していたと考えられるが、改造が多いため当初の姿を特定できなかった。
ただし、棹縁天井が張られる部屋は仏間として利用され、他の武家住宅とは異なる間取りを示す。北側の棟は当初土間で、別棟の釜屋とともに広大な作業空間を用意していた。
 小屋組は叉首を用いた折置組の構造で、陸梁と胴差型の梁を併用している。構造や意匠から判断して19世紀前期の建築と推定される。大規模にも関わらず、建築の保存状態は良好で、特に土間廻りがよく残され、座敷に面した庭園の質も高い。門は失われたものの、屋敷構え全体がよく残されている。周りの水路や小路と一体となって優れた歴史環境を形成し、武家住宅遺構として貴重な存在である。

出典:「城下町佐賀の環境遺産」佐賀市教育委員会 平成7年3月

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