西宮塔

西宮塔

  • 西宮塔
  • 西宮塔

■所在地佐賀市材木1丁目
■登録ID2527

 文字が書かれているエビスさんとして、最も多いのが、この『西宮』塔で、このほか『西の宮』『西ノ宮』があり、そのうち数の少ないのが『西の宮』塔である。エビスを西宮として祀るのは、エビスを祭神とする摂津国の西宮社の社名を用いたものである。エビスの文字塔は、幕末以後の造立で、文字塔そのものの造立年代が比較的に新しいと云うことがわかる。この文字塔は像と比べると、極めて安価に求めることができるという利点がある。この文字塔の出現は、単なる経済的な問題のみであろうか、集団的奉祀へとエビス信仰のあり方が変わった結果であろうか、とにかく、文字塔の出現は、エビス信仰の研究上注目される課題の一つであろうと考えられる。エビス文字塔には、自然石塔や切り石塔が多く、奇麗に整形し磨かれた駒形塔もある。材木1丁目の西宮塔は、造立年の明らかなものの中で古いものといわれ、文字の下方に鯛が一匹丹念に刻まれているのも他に例がなく、注目すべきものである。文字は『西宮』と書いてあるほか『恵比須大明神』 『西宮大明神』『恵美須尊』『蛭子命』『蛭子』等があるが、『夷塔』はなく、『夷』という文字には、異郷から訪れた神と云う意味が含まれていて、エビスに対する古い時代の考え方を伝えており、蛭子には神話の流れを伝えている文字だとも考えることができるようである。

出典:ふるさと循誘(P.54)

地図