浮立

浮立

■所在地佐賀市鍋島町
■登録ID2663

○蛎久天満宮の春祭りは3月25日に、秋祭りは11月に行われる。ここの浮立のおこりは、蛎久の西の窓口である川原口が、中国などと貿易があっていたのではないかと想像される。
昔、岸川の丈六に流れついた仏像が、川を下って川原口から陸に引き揚げることになった。
仏像は長い間、海中にあったので蠣がいっぱいつき、その上、1丈6尺もある仏像であるため、簡単には揚がらない。そこで鐘、笛、太鼓などおもしろく吹きならして引き揚げた。これ以来、浮立がはじまったそうである。ただ、この浮立は大変もの静かなことが特色である。
○新庄神社の秋祭りは、11月3日に行われ、江里桜の青年たちが200年前から伝わる浮立を踊り収穫の秋を祝う。
 はちまき、ハッピ、黄、赤の色鮮やかなタスキ姿の青年が踊り、小学生の小太鼓、年配の方の吹く笛のひびきがにぎやかに奉納される。その後、各家庭の庭先で収穫を喜び、来年の実りを祈り打ち回って歩く。
 江里の浮立は、元亀元年(1570)に今山夜襲、戦勝祝賀のとき、江里地区に浮立が起こったと伝えられる。それを毎年、郷社新庄八幡神社で奉納されるようになった。
 文化元年(1804)浮立役割帖ができ、今なお現存する。文化11年(1815)浮立様式を杵島郡地方に習得に出向き、それが現在に至っている。
  -役割帖-
 江里地区に生まれた男の子は、全員役割帖に記載されることになっている。
  小鉦……小学校入学前の子ども
  〆太鼓…小学生
  綾竹……上級生
  大鉦……青年
  笛………青年
あとは全部後巻として記載され全部記録帳が残っている。戦時中、鉦を供出したため、一時中止されたが、再び開始され現在もつづいている。

出典:鍋島町史p.298〜301