あらこ

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■所在地佐賀市蓮池町
■登録ID316

「あらこ」は普通「荒籠」と書き、川岸に石を組んで、護岸、舟つき、流れの調整などを図る出っぱりである。筑後川などにも諸所にある。
佐賀江の記事にこれを「洗湖」と書いたのが栗山賚四郎氏にもあるが、これは佐賀江の特徴に合うと思われる。鍋島氏になってから成富兵庫によって作られたと古老たちにより言い伝えられている。
佐賀江は曲がりが多く、蒲田津橋から今宿まで直線距離5kmのところを、川は9.5km以上約2倍の長さになっているのは、有明海の干満の力をよく利用して水を蛇行させることで、保水と舟運の便を図ったものと思われる。この江湖はほとんど高低のない平地を、横に走るが、満ち潮に乗って櫓で今宿まで行き、荷をさばいて引き潮で下る事がで出来るように手を加えたと言われる。
小田氏時代は、この川は龍造寺に備える砦の意味が強く、鍋島になって交通交易を図ったようである。また、江湖の水はガタを含むので、沈澱のため川がせまくならないように、曲がりとあらこが江湖の特徴である。あらこの出っぱりとその上下の捨石の使いようにより、水をよく動かして深みを保ち、向う岸をも洗う働きが考えられている。
写真は蓮池町に現存するただ一つのあらこ。昭和初期までは荷揚が行われていた。藩政時代は乾鰯(ほしか)の荷揚げ場所として賑わった。佐賀江川沿いには数箇所のあらこがあったが現在では一つしか残っていない。

出典:芙蓉P.172ワークショップ