六地蔵 二基

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■所在地佐賀市諸富町大字為重 多聞院
■文化財指定状況佐賀市 重要文化財
■文化財指定日昭和57年4月1日
■登録ID5203

地蔵が六道を輪廻転生する衆生を救済するということから、六つの分身を考えて六地蔵として信仰することは平安時代末期に始まったといわれる。本県内に遺存する石像物を通してみる限り、地蔵尊は室町時代前期に現れ、後期に著しく造立されている。室町時代の地蔵信仰は造立銘より、その大部分は個人信仰であったことは明らかであるが、後期になると信仰を同じくする集団である講の発生を見るに至っている。
 多聞院の六地蔵は、方柱形の二本継の竿石の上に中台をのせ、その上に尊体を安置し、宝珠のついた屋根形の笠石をのせた六地蔵の基本形式である。一般的には時代が下ると中台の側面の蓮華文が消滅する傾向がみられる。
195センチメートルの六地蔵には蓮華文が残っており、笠石は六角形である。また竿石には二体の半肉彫像が彫られている。
150センチメートルの六地蔵には蓮華文がなく、笠石も円形である為やや時代がくだる可能性がある。寺院の門前や墓地の入口に一般的に見られるようになったのが室町時代後期からであることから、そのころの造立と推定される。