山水図襖 谷文晁筆 十二面

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山水図襖 谷文晁筆 十二面

  • 山水図襖 谷文晁筆 十二面

■所在地佐賀市城内一丁目 佐賀県立博物館(個人)
■文化財指定状況佐賀県 重要文化財
■文化財指定日平成10年5月11日
■登録ID5262

この図は、江戸時代後期の代表的な画家で、関東画壇に君臨した谷文晃(ぶんちょう)(1763~1840)が描いた、超大作の山水図である。
構成は、右端の背の高い松のある岸辺からはじまり、奥に陸地のみえる広々とした湖水、湖水に浮かぶ島、左端に握り拳のような山を中心とした陸地へ続いて終わり、空間を広くとり、景観はゆったりと配置されている。要所に家や人物を配し、徐々にモチーフを充実させ、拳のような山で最高潮となる構成がとられており、画面に右から左へ向かう展開の方向性が認められる。
描線は比較的少なく、墨を面的に使用し、ぼかしやにじみが効果的に用いられており、構成も比較的単純である。湖水の奥に延々と描かれる陸地によって、空との境界を明確にしており、奥行きのある景観の中でモチーフの前後大小関係を的確に配置していること、彩色と墨色が近景ほど濃く、遠景ほど淡い空気遠近法を使用して、遠近を明らかにしていることなど、全体として写実的な印象を与え、文晃の西洋画学習の成果が想起される。
左端、第12面左下に落款があり、文政3年(1820)6月に制作されたことがわかる。
当時、文晃は58歳で江戸にいたことが確認でき、この図は江戸で制作され、後に佐賀にもたらされた作品であるといえる。
伝来の経緯は不明だが、文晃とは近い関係にあった古賀穀堂(こくどう)や草場佩川(はいせん)などの佐賀の人物を介してもたらされた可能性が考えられる。
この図は、文晃の確認できる最大級の作品であり、保存状態も良好で優品に数えられる。