御髪信仰

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御髪信仰

■所在地佐賀市川副町
■登録ID2039

 御髪神は一般にオンガンサンなどとよばれ、その信仰は有明海沿岸に広く分布している。なかでも、有明海の竹崎沖合に浮かぶ岩礁には御髪社が奉祠され、毎年旧暦6月19日には沖ノ島詣りの漁船が繰り込む。この沖ノ島には現在灯台が立てられ、海上交通の要となっているが、ここは古くから有明海を航行する船舶の目標となっていたようで、この御髪社は海上安全の守護神ともいわれる。
 また、有明海沿岸には、お島という女性の伝説も多い。昔、大旱魃の折に難渋する農民をみたお島は、雨乞い祈願のため、その身を有明海に投じた。その死体は沖ノ島に流れ着き、願いもかなって慈雨をもたらしたというものである。こうしたことから沖ノ島は古くから神聖な島であると考えられていたことがわかる。沖ノ島詣りに参加する地区は、漁村部のみにとどまらず、江北町などの内陸部の農村部にもあり、単に海神のみならず豊作祈願や雨乞い祈願の水神として信仰されている。
 早津江志賀神社境内にも御髪大明神の石祠があるが、大詫間にはオンガンサンとよばれる神屋敷があった。大詫間オンガンサンの由来によると、それまでの打ち続く高潮に苦しんだ島民は堤防を築き、寛政5年、本土居に沖ノ島大明神を勧請し海辺鎮護の守り神としたのに始まるという。その後も本土居は潮止めの役割を果たし、明治7年7月の戌年潮(死者十数名)、大正3年8月大潮などでも大詫間島は難を免れることができた。明治26年頃の大旱魃には、このオンガンサンに雨乞い祈願のための浮立を奉納し御利益を享受したという。御神体は明治43年松枝神社に移され、この神屋敷は昭和47年圃場整備事業に伴い、撤去された。

出典:川副町誌P.785〜P.787