ぼた餅は仏さま (和尚と小僧)
ぼた餅は仏さま (和尚と小僧)
■所在地佐賀市川副町
■登録ID2089
あるところのお寺に、和尚さんと小僧さんが住んでおったと。
ある日、ぼた餅を檀家の人から貰った。和尚さんは、その餅を自分だけで食べようと思って、戸棚の中になおした。
ところが、小僧さんは和尚さんの留守の時食べてしまった。小僧さんは、仏さんかぼた餅を食べたように見せかけるために、その口端に餡を付けた。
和尚さんが戻って来て、ぼた餅を食べようと戸棚の中を開けた。ところが、ぼた餅はなかった。和尚さんは、
「お前が食うたろう」と言った。小僧さんは、
「私ゃ食うていません。仏さんが食うた」と言った。
和尚さんは、仏さんを見ると口端に餡を付けていた。和尚さんは仏さんを叩くと、
「クワーン」と、音が出た。和尚さんは小僧に、
「『食わん』と言いよんさっ。お前が食うたろう」と言った。すると、小僧は和尚さんに、
「水ン中に入れてんさい」と言った。
和尚さんは、仏さんを水の中に入れると、
「クッタ。クッタ。クッタ」と、音が出た。小僧は和尚さんに、
「そーら、みんさい」と言った。
和尚さんは、仏さんがぼた餅を食ったと思ったげな。
(平田分 西川フジ)
出典:川副町誌P.907