土龍打ち

土龍打ち

■所在地佐賀市大和町
■登録ID2261

 土龍打ちは1月14日に行う男児の行事である。ころのよい5、6mの雌竹を切ってきて、そ
の先にわらずとをくくり付けたもので、地区の各戸ごとに庭先に円陣を作り、もぐら打ちの歌に合わせて地面を叩くのである。すんだらそれを各自持ち帰ってわらずとの付近から折り曲げて自宅の柿の枝にぶらさげておく。土龍打ちをしてもらった家は、土龍打をしてくれた子供達の家族内の子どもの数だけ小餅をやるので、兄弟姉妹の多い所はたくさんの餅をもらったものである。この行事はもともと田畑を荒すもぐらの害を除こうとするものであったが、次の歌詞のように果樹の豊産を祈ることに変わったようである。また一説には新しく来た嫁を祝う行事ともいわれ、竹の棒を男性のシンボルとし、それで嫁の尻を叩くと早くみごもるという意味もあったという。現在でも出羽、小川、久留間、今山、今古賀あたりで行われている。次に土龍打ちの歌を掲げておく。()内は註釈
 なれなれ柿の木(実をたくさん結べ) ならずの木をば(実を結ばない木を) なれぞというた千なれ 万なれ 億万なれ つる落ちすんな 空花咲くな 人のちぎっときゃ(人が盗みとる時は)  ほい(堀)の岸いなれ(堀の中ぁなれともいう) おどんがちぎっときゃ 畑のまん中ぁなれ  去年よりゃ今年ぁ  所見がようして(見ばえがよくて) 太うして長うして ぶらぶらっとなれ   十四日のもぐら打ち

出典:大和町史P.632〜633