盆綱引き

盆綱引き

■所在地佐賀市大和町
■登録ID2269

 大久保地区その他数地区で盆行事として行われていた。男の子たちが地区の各戸から「すぐりわら」なら小手3束、「しびわら」なら大手1束(小手30束分)わらのない所はそれに相当する金をもらい集め、しびわらはきれいに下葉を落し、それを直径3cmくらいに束ね直し、13日の夕方から地区の青年男子に頼んで直径20cm、長さ7、80mにも及ぶ綱を夜遅くまでかかって編んでもらった。青年たちは浴衣の肩はだを脱ぎねじり鉢巻をしめ、3人が1組になって「よいさよいさ」と掛け声をかけて編んだ。子どもたちは小束を取ってやったり、蚊を追ったりした。青年から「盆綱の毛むしりを借ってこい」といわれ、あっちこっちを走り回って借りにいくが「ありゃー、たった今まであったばってん○○さんがたぁ貸したけんそこさい行ってみろ」とか「うちのはこわれて使われんばってん○○さんのもっとんさん」などいわれ、からかわれているとも知らず無心に走り回ったものである。綱は地区の中心の道路上におかれ、子どもたちは古賀別などで二手に分かれ、太鼓の合図で一生けんめいにひいた。大人も出て応援したり子どもといっしょになってひいたりしていともなごやかな風景であった。この行事も本来は信仰に発したものであり、神意をうらなう方法の1つであった。海と里のあるような地区では海と里との二手に分かれ、海の方が勝てば豊漁、里方が勝てば豊作といったようなことからおこったという。

出典:大和町史P.642〜643