宗眼寺は、支藩蓮池鍋島家の菩提寺で、初代藩主鍋島直澄の霊屋がある。
河童像は霊屋の向拝の虹梁(こうりょう)の上におかれ、棟木を支えており、蟇股(かえるまた)又は束の機能を果している。河童像は、両足を立てて尻をおろした坐像で、像高23センチメートル余り、寄木造の彩色像である。眉毛は太く、眼は彫眼で大きく開き、正面を見すえている。毛髪は両側のみに巻毛を刻み、鼻は太く、口は閉じ2本牙を出し、首を前にのばして顔面を突き出し、背中を丸めている。両肘を屈し、高く上げて力み、両手はそれぞれ膝頭におき、手足には比較的大きな爪を刻み、褌(ふんどし)をしめている。体部は黒色、眼は金色で口、鼻、耳の内側及び褌には赤色が施されている。右足の指が欠失しているのみで保存は良好である。
彫像の年代は明らかでないが、江戸時代の作であると考えられる。また、霊屋にこの像が置かれた理由も不明である。小躯ではあるが河童の性格をよく表現した像で、江戸時代における特色ある彫像の一つとしても価値がある。この種の河童像が市内に数躯伝存しているが佐賀地方の風土が育んだ河童伝説に基づく遺物の代表的なものの一つとして、民俗学的な価値も高い。