白鬚神社の田楽 | さがの歴史・文化お宝帳

白鬚神社の田楽

所在地 佐賀市久保泉町大字川久保3466
文化財指定状況 国 重要無形民俗文化財
文化財指定日 平成12年12月27日指定
登録ID 2941

指定文化財

 白鬚神社は、近江の国白鬚大明神の分霊を勧請した古社と伝えられ、主祭神は白鬚大明神である。
 勧請に奉仕した19の家があって、いずれも姓に丸字をつけているので、丸持の家といわれ、この神社の重要な祭典を行うので、これを丸祭と呼び私祭の古式が伝承されている。毎年10月18、19日に行われる祭典に川久保集落の人たちによって奉納される舞楽がすなわち田楽である。
 この白鬚神社における田楽の記録は、享保19年(1734)建設の石鳥居に「時奏村田楽」とあるのが最も古いものであるが、その起源は平安時代、もと田植のおり鼓を打って田植歌の伴奏をしたものが、後には笛、鼓などをも加え、所作をなすようになり、次第に形を整えて神社仏閣などに奉奏する習慣となったものと考えられる。したがって地方により、多少形式の相違も生じている。
 白鬚神社伝来のものは、稚児田楽という種類のひとつで、演者の行粧にも特色があって、九州地方では珍しい存在である。
 ここの田楽奉仕者は、川久保集落の人たちの中から、抽籤で12人を選び、次の諸役を定める。
「はなかため」  1人 造花を持つ 幼児の役
「すってんてん」 1人 鼓を打つ  幼児の役
「ささらつき」  4人 編木をつく 少年の役で女装
「かけ打ち」   2人 太鼓を打つ 青年の役
「笛の役」    4人 世襲を本体とする田楽演奏の中心
これら諸役の行粧を簡単に説明する。
「はなかため」は薄紫地に横に大きな五筋の染抜模様のある長袖着物。白足袋。綿入れの鉢巻。顔は薄化粧。額の中央と両頬に紅の点彩。手に造花と扇を持つ。
「すってんてん」ははなかためと同じ服装。同じ顔作り、金烏帽子。手に長い布で巻き飾った鼓と扇を持つ。
「ささらつき」は浪に兎の裾模様ある女着物。女帯を前に結び両端を垂らす。白足袋。後頭部に女の「かもじ」を垂らす。道行の履物は高下駄。顔は薄化粧に点彩。花笠をかぶる。花笠は割竹を編んで紙をはった直径90cmのもの。それに造花をつけた竹ひごを数10本さす。それに華麗な女帯を2筋結び垂らし、その帯の上に古鏡を2面取りつける。後頭部には切れ目を入れて長くした白紙を垂らす、手には「ささら」を持つ。「ささら」は長さ約60cm、竹札を58枚編んで作ったもので、現存中のひとつの把手には「文化四」と書いてあるのがある。
「かけうち」は白衣に黒のくくり袴。胸のところに白皮の太鼓を吊る。背後に3尺くらいの木刀を横たえ鈎綱でくくりつける。白足袋。
 演目は「道行」の外、「鳥居がかり」、「三三九度」、「つきさし」、「さざれすくい」、「四方立ち」、「おさえばち」、「向うにみあし」等であるが、三三九度以下は一連の長曲となって切れ目がない。祭の日には、田楽家元に勢ぞろいして演出。そこから二の鳥居まで道行。鳥居を入ると鳥居がかりの曲が奏され、終って社殿前の演奏場に入り、「かけうち」のかけ声によって一同定めの位置に座る。
 演奏場は4.25mに4.85mの竹囲い。中にござが敷いてある。
 この演奏場で三三九度以下が演出されるのであって、「かけうち」はときどきかけ声を発して太鼓を打ち、「ささらつき」のおも役は前方に進み出て相対して「ささら」をつく。この間に「すってんてん」と、「はなかため」は三三九度の終りに各自の持物をもって舞台を1周するだけ。「すってんてん」の鼓も2、3度打つ手振りをするにとどまる。
 各曲多少の違いはあるが総じて、「かけうち」のやや活発である外は単調緩慢な所作がつづいて1時間30分にわたる演奏である。
 「すってんてん」という役は、各地の田楽にもあるが、「しててい」ともいって、鼓の譜から出た名称ということである。
出典:佐賀市の文化遺産p.129〜130  

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