船塚古墳

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■所在地佐賀市大和町大字久留間 国・佐賀市
■文化財指定状況佐賀県 史跡
■文化財指定日昭和28年11月3日
■登録ID5321

船塚古墳は脊振山地南麓のゆるやかな傾斜地に築かれた県下最大の前方後円墳である。北および東西の3方を山で囲まれて前方部を南に向け、全長114メートル、後円部は径63メートル、高さ10メートル、前方部は幅62メートル、高さ9メートルで、前方部と後円部の規模がほぼ等しい。墳丘は3段に構築され、周囲に幅12~18メートルの周濠が巡っており、これらの形態は古墳中期の特色を典型的に示すものである。墳丘上には花崗岩円礫の葺石(ふきいし)が認められ、また後円部頂から家形埴輪(いえがたはにわ)が出土している。
埋葬主体部は明らかでないが、後円部上に明治期の盗掘坑があり、内面が赤く塗られた竪穴式石室であったと伝えられ、盗掘時の出土とみられる大型勾玉(まがたま)1個のみ採集されている。
本古墳のもう一つ重要な特色は、その周囲を径12メートル前後の円墳が取り囲んでいる点である。現在7基残るが、かつては11基あったという。畿内の王陵に見られる陪塚(ばいちょう)に似た状況を示し、九州ではきわめて珍しい例といえる。
築造年代は5世紀中頃と推定される。墳丘の構造や周濠・陪塚の存在など、豪壮な規模を有する前方後円墳として注目される。