山領浮立
【由来】
佐賀市を中心に伝承されている浮立で太鼓打ちのかぶる天衝という冠物から天衝舞浮立あるいは、創始者と伝えられる玄蕃の名をとって玄蕃一流浮立ともいう。伝承では掘江大明神(現掘江神社、佐賀市神野町)の雨乞祈願に神職の山本玄蕃が創りだしたものといい、また一説には川副郷寺井津の住人玄蕃亮常利が創始したともいうが、いずれもはっきりしない。
【奉納場所】
西の宮社(佐賀市北川副町)の秋の例祭10月20日に、山領の当番である8年毎に奉納される。
【役名と衣装】
大太鼓:壮年 1名
浮立の主役となるもので玄蕃一流と呼ばれ頭上に天衝と呼ばれる兜状の冠物をかぶり、腰にゴザを垂らす。
冠物は直径120cm、高さ140cmぐらいの半月状で中央に日と龍が描かれている。
大太鼓には後打がつく。
笛:壮年 10名
羽織・着物にスゲ笠をかぶる。
鉦打ち:青年 25名
シャグマ(和紙を切り重ねたものの先端に色紙を切り飾る)をかぶり、アジシ(現在は消防服)を着る。鉦は嘉永年間(1848〜1853)のものがあったというが、戦時中に供出した。
モレイシ:少年 25名
女物の着物(古くは青着物)に色タスキをかけ、桃色のカサ張りと花カゴをつけた笠をかぶり腰に締太鼓を吊るす。
他に御謡いがつく。
【次第】
山領の氏神社六所大明神より打出しを行う。
道中は「道囃子」を囃しながら道行きをし西の宮社の鳥居から「入り込み」で入り境内で場を整える。
神の前では「本囃子」と「まくい」をする。神事にあわせ神前で米と塩で祓いをし謡が3番はいる。神の前の奉納が終われば宮巡りを「まくい」で行う。他に花浮立として「佐賀の新宮さん」「高い山」「遊びにごんせ」などがある。