住吉神社の神典(御神徳)

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住吉神社の神典(御神徳)

■所在地佐賀市東与賀町
■登録ID1232

住吉神社の神典(御神徳)について、佐賀市北川副町粟島神社宮司は下記のような記録を保存している。
住吉の神は底筒男の神・中筒男の神・表筒男の神と言う河川の表面・中程・底部の守護神とされている。神典によればイザナギの尊が筑紫の日向の橘の小戸阿波岐(あはぎ)が原で、禊(みそぎ)された時に生まれました神とある。そのミソギの結果、天照大神以下三貴子の御出現を仰いでいる。これによれば前半は住吉の神は禊祓(みそぎはらい)の神であり、後半は禊祓によって皇祖神を出現させる役割の神となっている。ここに住吉の神の真の信仰を見出す必要がある。
さて住吉を今の人はスミヨシと訓(よ)むが、古事記に「墨江」・摂津の国の風土記逸文に「須美乃叡」・万葉集には「清江」とある。古くは「スミノエ」と訓んだのである。「スミノエ」と言う意味は、万葉集(巻三)に「清江」の岸の松原遠つ神我が王(おおぎみ)の幸行処(いでましところ)とある様に、清(澄)の江で水の澄んだ海岸・河口を指したものである。即ちスミノエの神とは祭に際し清い海辺・水辺でミソギ祓をして潔斎する際の守神たる事を本質とする。
ミソギ祓は今では軽く考えられているが、古くはミソギ祓いする事によって心も身も生まれ替わる信仰がその底にあったことを忘れてはならない。古典によれば「ミソギハライ」は「みあれ」の神事につながる。さればこそその結果皇祖神以下の三貴子のお出生を拝したのである。この海岸・河口における禊祓の信仰、これを媒介として人々の一層の新生を期待したこと。ここにこそ住吉の真の信仰があった。それが海岸・河口に住む者の生命を守り、これに新しい息吹きを送り航海・漁業を守る神とされたのは、当然の成り行きと言ってよい。住吉の神の神社は摂津(大阪市住吉大社)長門(下関市住吉大社)筑前(福岡市住吉神社)壱岐(長崎市住吉神社)に存するが、それらはいずれも澄の江の名を冠するにふさわしい所である。全国の住吉神社はこのいずれからの分社であろうが、その禊祓による神の息吹きは人々をしていよいよ新生更生せずには措かないであろう。

出典:東与賀町史p1206