山王社

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■所在地佐賀市久保田町下満
■年代近世
■登録ID1401

山王の本社は比叡山山麓の日吉大社で大山咋神(おおやまくいのkみ)を祭神とする山の神である。山王というのは神道の理念としての神であるが、民俗でいう山の神は神道の枠外の民俗の神、民間信仰の神としてとらえられたものである。
 民間信仰では山の神は春に里に降りてきて田の神となり、秋に再び山に戻り山の神になるといい、山と里の間を去来すると考えられてきた。山王が平野部では農業神として信仰されているのは、このような民俗的な両面の霊格を持っていると考えられているからであろう。
 里の農民にとって、山の資源は貴重なものであった。青草は馬の飼料、田の肥料として利用されていた。さらに山は稲作に欠かせない水の源として、山の神は水を司るみくまりの神という面を持っているものも農業神としての一面である。また、山の神の実態は祖霊であるという説もある。先祖はつねに子孫を見守っており、稲作を基本とする社会にあっては豊饒をもたらすのが先祖の祖霊の役目であった。
 県内の山王系の神社では、申年に田舞を伴う祭が行われるところが多い。四月ごろ、田起こしから種蒔き・田植えまでの所作を演じて方策を祈願する予祝(よしゅく)の行事が行われる。

(下満の山王社は)町内における唯一の山王神である。山麓部に祭祀されることが多いのは、山の神としての意識が強く田の神との去来信仰が考えられる。

出典:久保田町史 p.612