雨乞いの竜

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雨乞いの竜

■所在地佐賀市大和町
■登録ID2328

竜頭函-肥前州河上-正徳六(1716)丙申二月十八日と墨書した木箱が実相院に保管されている。この箱の大きさはたて84cm、横30cm、高さ28cmで中に55cm大の竜頭が納めてある。
竜頭は竜の頭に似た木の株のようで、木目の突起がちょうどうろこに似て異相を呈している。別に45cm大の全身竜の木彫りをした竜王尊があり、これは手に珠玉をつかみ、うろこを逆立てて将に炎を吹かんとするような美事な彫刻になっている。実相院では雨乞いの祈祷がしばしば行われたようである。土地の人の話によれば近くは昭和14年(1939)8月にこの雨乞いの行事をしたということである。一週間の御祈祷をし、結願の日は村をあげて各地区から鐘太鼓を打ち鳴らして実相院へ繰り出し、箱に納めたままの竜頭を川上川へ運び四隅に張ったしめ縄の中で川につけたという。また、別に二流ののぼり旗があり、それには
 赤日焼空八月天
 草枯木盡幾山泉
 南無東海龍王尊
 倒取銀河酒大千
と達者な文字で書かれている。空を焼くような8月のこのひでりに野の草も枯れ、山々の水も泉も尽き果てた。どうか東海竜王尊よ、天の川を逆さにして、この三千世界に水を注ぎ込み給え、という意味だろうか。この竜を「雨乞いの龍」と呼んでいる。

出典:大和町史P.661〜662

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