乙文殊宮とたもと石
乙文殊宮とたもと石
■所在地佐賀市大和町
■登録ID2334
通称「もいっさん」と呼ばれ、入学や就職試験の願いごとで親しまれている乙文殊宮は文殊菩薩が祀られ、文殊菩薩を祀った神社は全国でも珍らしいという。この神社の創建には次のような伝説がある。
時代はいつごろかわからないが、実相院の竹内坊に文殊さんが祀ってあった。この竹内坊の玄関先に大きな石があり、住職が「この石さえなければ………」掃除をするのに楽だとか、庭のかっこうがどうなるとか、ことごとに愚痴をこぼし、下駄でけるという調子であった。
ある時、役僧がこれを見かねて「この石を私がもらってもよいか」とたずねると
「持っていけるなら今すぐ持っていけ」と荒々しく答えた。するとその夜役僧が衣のそでにその石をつつんで持ち去った。その役僧というのが実は文殊菩薩の化身で石と共に遷座されたという。
この石が文殊さんの「たもと石」と呼ばれ、高さ4.5m、直径9mの巨石で、乙文殊宮より更に550mほど登った所、奥の院の裏にある。
出典:大和町史P.668〜669