今宿(あけぼの橋)の精霊流し

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今宿(あけぼの橋)の精霊流し

■所在地佐賀市今宿町
■登録ID2541

 精霊流しは、8月13日から始まって15日に及ぶ盆祭り最後の15日の夕刻から夜にかけて行われる。家に迎えた故人の霊を供養した後にふたたび霊を送る行事が、精霊流しである。『精霊』は舟に乗って来世に還る。というわけで初盆を迎えた家では、精霊舟をつくり精霊を送る習慣がある。佐賀では昔からこの行事は、今宿と八戸の高橋で行われてきた。長崎の精霊流しは話しによれば爆竹、花火に費用をかけるそうで、精霊流しはたいへんな賑わいといわれている。当日今宿では数軒の夜店も出て人出も多く交通が混雑するので、交通整理をしたり火災予防のため消防団員や消防車も待機して、町ぐるみでこの行事が夜遅くまでつづいている。まず、僧侶の読経と地元の婦人による御詠歌の中、申込順に場内放送により精霊舟が次々と遺族の人達により流される。船の名前も『西方丸』や『浄土丸』とかつけられて盆の供え物を精霊さんの土産として舟に入れ、舟には大小の提灯や打ち上げ花火が飾らている。精霊舟の大きいのは3メートル以上もあったりする。このとき川の中では、胴長をつけた地元町区の人々が舟や花火に火をつけ、下流に流すのを手助けする。花火が大音響とともに空に打ち上げられる。また、個人で小さな箱や舟で流す人もあって、多くの夜店と人出で、あけぼの橋周辺は夜遅くまで混雑している状況である。この今宿は佐賀城下唯一の河港として栄えたもので、この佐賀江川は、東は蓮池町から筑後川に注いで有明海に通じている。昔はこの川を利用して多くの物資が千石舟で運搬され、今宿にはたくさんの店や倉庫が立ち並んで大いに賑わっていた。陸に鉄道ができるまで、この川が交通運輸の役割を果たしていたのである。また旅人の中には長崎街道通行規定を守らず、こっそりこの町を通過するものが増えたので、佐賀藩では、橋口に木戸を設け、番人をおいて取り締まった。『佐賀名物打ち切りノンキー、玉ノンキー』は、佐賀人にとって最もなつかしい飴菓子であった。昔はこの飴をノミで切ったので、ノミキリからノンキーの名が起こったと云われ、江戸時代佐賀の今宿で作られたのが始まりと云われている。
今宿の精霊流しは、諸般の事情により、平成21年から中止になっている。

出典:ふるさと循誘(P.153)