モグラ打ち

モグラ打ち

■所在地佐賀市川副町
■登録ID2015

 1月14日にモグラ打ちが各地で催されていた。田畑を荒らすモグラを追い払うためとされ、笹竹の先端に藁を巻きしめた棒で、家の周囲や庭を唱え言をしながら打って回る子ども達の行事である。モグラ打ちの棒は、打ち終えると柿の木や梅の木に折ってさげるとされている。子ども達は信玄袋・樽・しょうけなどを持ち、もらい受けた餅を入れ、回り終えるとぜんざいなどをして食べた。餅をもらう時には「オカチンはヨゴーでも太うかとからおくんさい」(広江)と言ったり、「コケコッコーと声を張り上げた」という。(大詫間)
 大詫間では50年位前までは村の青年達が青年宿に集まり、藁で頭から顔まで隠れるかぶりものを作り、かぶりものの中が誰であるかわからないようにして各家を回ったという。青年達は餅をもらうのであるが、その時「キョウノニワトリ、ニコンノニワトリ、オキノハタカラギッチャコンゴ ギッチャコンゴ」とかけ声を上げて庭先へ入ってきた。各家では餅を与えると縁起が良いとされていたし、餅と一緒にカマドの煤を体につけてやっていたという。
 これらのモグラ打ちは戦後には、ほとんどの地区で廃止されてしまった。

出典:川副町誌P.759〜P.760