小隈古墳

小隈古墳

■所在地佐賀市大和町小隈
■登録ID2231

小隈山古墳の西南約80mの所にあって、地区の人は「マル山」と呼んでいた。昭和33年(1958)土取り工事中に発見され、調査されたもので今はない。封土の径18m、高さは北2.7m、南2mで、封土上には葺石が認められた。内部主体は封土のほぼ中央に4基の箱式石棺が不規則に置かれていたが、2基はすでに破壊されていた。石棺はいずれも2−3枚の板石を立てて側壁とし、前後は1枚の石をそれぞれ立てて囲み、上を数枚の板石でおおっている。石棺の長さは約1.8m前後、幅は40㎝前後、高さ30㎝前後である。床は礫床が1基で他は粘土床とし、内部には鉄丹が塗られていた。
 遺体は1体のものと2体のものとがあり、副葬品として1号棺から硬玉製匂玉2、碧玉製管玉が10、4号棺から碧玉製管玉と仿製の内行花文鏡が発見された。内行花文鏡は径10.4㎝、七花文の質のよい白銅鏡で、文様もしっかりしており、仿製鏡としては県内では類例のない逸品である。この古墳の内部主体が4基である円墳であることから、家族墓的性格を持つ墓制への移行を示す5世紀後半の中期古墳として注目された。

出典:大和町史P69〜70